公認会計士と税理士の違いを教えてください

 この質問は、これまでで一番よく聞かれた質問です。公認会計士は数が少ないことと、公認会計士の独占業務である監査業務は一般の方々に直接関わることのないものなので、この疑問が生じるのでしょうね。

 

公認会計士とは

 

 公認会計士は、「監査及び会計の専門家」であって、「財務書類の監査又は証明をすること」は公認会計士の独占業務と定められています(公認会計士法1条、2条)

 

 ここでは、分かりにくいと考えられる「財務書類の監査又は証明をすること」を説明いたします。 

 

 

 みなさんの中には、資産の一部を、上場している企業の株式で運用している方も多くおられると思います。また、実際に運用されなくても、株式投資自体は、ご存知ですよね。株式に投資するに際して、どの会社に投資するのか意思決定するため、大変重要な役割を果たしているのが、投資対象として考えている企業の財務諸表、いわゆる決算書です。投資家のみなさんは、企業の公表する財務諸表を見て、企業の収益性、成長性、健全性を評価し、投資の意思決定を行っているのです。

 

 

 さて、ここで、そのように重要である企業の財務諸表が、もし間違っていたらどうなるでしょうか?あるいは、意図的に誤った財務諸表を作成し、公表していたとしたら・・・。

 それを見て、投資の意思決定をした投資家は、過った情報をもとに投資をしてしまったのですから、その投資から大きな損失をこうむってしまうことでしょう。

 

 

 とすると、投資家は必然的に、企業の公表する財務諸表が正しく作成されていることを確かめたいと考えます。正しい財務諸表のみが、正しい投資判断を導くからです。しかしながら、一般的に、投資家は、企業の作成する財務諸表が正しいことを確かめるための意思も能力も有していません。また、実務的にも投資家が、世界的な自動車メーカーや、電力会社等、東証一部に上場するような超巨大企業に出かけて行って、その帳票類を検証することは、全く非現実的です。

 

 

 そこで、このような投資家の要請に応えるべく、公認会計士が、株式を上場し、広く投資家から資金を集める企業に出向き、独立の第三者としての立場から、その公表する財務諸表が正しいことを監査し、財務諸表について監査報告書を発行することにより、その適正性を担保しているのです。

 

 ここで、重要なポイントですが、公認会計士が行う会計監査は、税理士が行う巡回監査とは全く異なるものです。つまり、税理士の巡回監査は伝票チェックが主ですが、公認会計士が行う会計監査においては伝票チェックは業務のほんの一部に過ぎません。

 会計監査を行うためには、まず、企業の外部環境を把握し、次に内部統制の整備・運用状況を評価し、財務諸表の虚偽表示のリスクを評価して、最後に伝票等のチェックを行うのです。

 財務諸表は一定期間の会社の経済活動を貨幣価値に置き換えたものです。従って、財務諸表が正しいことを確かめるということは、会社の経済活動のすべてを理解できて初めて可能となるのです。

 このように、会社の業務活動を把握し、評価することを業としている公認会計士だからこそ、その知識と経験をもって中小企業のみなさまのお役に立つことができると考えています。

 

  

 なお、監査証明が必要な会社は、上記の例で説明した上場企業(金融商品取引法に基づく法定監査)のほか、利害関係者の多いと考えられる、資本金5億円以上または負債総額200億円以上(会社法に基づく法定監査)の企業です。上場かつ資本金5億円以上または負債総額200億円以上の会社は、両方の法律に基づく監査証明が必要となります。

 

 

 超巨大企業を始めとした、上場企業等の財務諸表について監査証明をするためには、高度な専門性が必要とされます。そのため、監査証明業務を行う者を一定レベルに保つために、監査証明業務を公認会計士の独占業務として、公認会計士を国家資格とすることにより、公認会計士の能力も一定以上であることを保証しています。 つまり、保証業務を行う者の能力を担保することにより、保証業務そのものの信頼性を担保しているのです。

 

 

 

税理士とは

 

 

 税理士は、税務代理、税務書類作成、税務相談の三つを独占業務とした、税務の専門家です。

 

 

 税務代理とは、納税者に代理して、税務署等への申告・申請を行い、税務調査に際しては、それに立ち会い、納税者に代理して調査官に対して説明をすることです。

 

 特に、税務調査については、調査官にお客様の立場をきちんと説明できるだけの、交渉力が必要になります。この交渉力は、お客様への熱意に比例すると言ってもいいでしょう。

 

 税務書類作成とは、税務官公署に提出する申告書や申請書等の書類を作成する業務のことをいいます。税務書類には、申告書、届出書、申請書、証明書、異議申立書などの書類があり、
法人税、所得税、相続税、贈与税、事業税、消費税、酒税、その他の税などがあります。

 

 経理部門がしっかりしている上場企業は、これらの書類を自前で作成するため、ほとんどの場合、税理士と契約することはありません。しかし、一般的な中小企業の経営者さまにとっては、これらの書類を税法に基づいて正しく作成することは、大変な手間となるため、税務の専門家である税理士に依頼されるほうが、有効かつ効率的でしょう。

 

 

 税務相談とは、税の課税標準等の計算に関する事項について相談に応ずる業務をいいます。税務相談の例としては、所得税や法人税、相続税、消費税、印紙税、譲渡所得、財産評価、法定調書、不服なとき、災害を受けたときなど様々です。

 

 税務相談については、個別具体的な相談内容でない場合であれば、税理士資格がなくても、税理士法違反にはならないと解されていますが、税金の計算等が含まれた個別具体的な相談内容であれば、有償・無償を問わず、それは税理士のみに許されている行為となります。

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